三角開口の矩形

長崎県島原市 障害者支援施設 2017年竣工

写真 中村絵 (特記以外全て)

構造設計:坪井宏嗣構造設計事務所

設備設計:シード設計社 照明計画:LIGHT・PLAN

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島原市内で障害者支援施設を依頼された。

同時に、条件として長崎県森林整備加速化・林業再生事業という補助金の利用が求められた。長崎県産木材を総木材量の80%以上使用する必要があり、また補助金の性質上単年度で設計から竣工まで持っていかなければならない。しかし建築工事の最大1/2の補助が支給されるということで、事業計画としては優先順位の高い要因であった。


この制約上、木造の単純グリッドを出発点として計画を進めた。敷地面積と要求面積を調整した結果、3m×3m×各6スパンの正方形グリッドで綺麗に納まることが分かった。なお、クライアントとのコミュニケーションツールとしても正方形グリッドは分かりやすく、お互いにスムーズに意思疎通を図れたように思う。


障害者施設という用途上、外に開くのがとてもデリケートな建物であったが、決して閉鎖的にせず、必要な部分は丁寧に閉じながらもまちとの繋がりも感じられるような空間を作りたいと思った。そこで、三角形状の薄身な庇を出来るだけ大きなスケールでつくり、庇下の近くに足を踏み入れると劇的に内部空間が拡がるような構成とした。外からは中の全ては分からないが大きく開いているような、中からは守られているようで外部を大きく獲得しているような、まちにも広く繋がっているような空間体験とした。他にもトップライト、屋上への出入口などを同じ手法で作り、直方体の箱の色んな所から三角形状の開口が現れてくるような形態をしている。