紡ぎの床のランドスケープ

愛媛県西条市/分譲住宅/2017/competition

構造設計:木村洋介 設備設計:シード設計社

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愛媛県西条市を敷地とした分譲住宅のコンペティション。応募は39歳以下限定、採用された9組が分譲住宅を10棟づつ設計するという、若手向けに大きなチャンスが与えられたものであった。


本提案にあたり、西条市内の住民宅にチーム全員で宿泊し、西条での住民の営みを肌で感じながら様々なリサーチを行った。


最も印象的だったのが「だんじり」を中心とした自治会内の行事が年中行われていることであった。60〜70世帯に一つあると言われるだんじりについて町の人々が熱く語り合う。その他の行事も左図のように数多く存在する。つまり、町の人々同士のコミュニケーションが自然と取れてしまうシステムが十分に確立されており、住民同士みな顔見知りのような一体感がとても印象的で、羨ましくも思った。


一方、そのような豊かなコミュニケーションを取るための「受け皿」、つまり建築空間にはあまり特徴を見出せず、国内同規模の市街地に見られる住戸形式との差異はほぼ見受けられなかった。


日常の何気ない会話から深く飲み語らうときまで、日頃から絆が深い西条の人々を受け止める様々な「受け皿」がこの場所にあるべきではないだろうか。

そう強く感じた。

■土間床と木床で紡ぐコミュニケーションの場

具体的には、一般的な木造住宅にて生じるGLと1階床レベル(1FL)の差をきっかけとして、区画全体に土間床(GL±0)と木床(1FL=GL+400mm)のランドスケープをつくり、様々な場を形成した。+400mmのレベル差は人々の行為をつなぐだけでなく、場所によっては塀代わりにゆるやかに境界線をつくる役割も果たす。

建物ヴォリュームはそれらに呼応するかたちで、様々な距離感を持たせて配置した。

■類似機能を隣接させて

コミュニケーションを誘発する

隣棟間において似たような機能を近接させることで、日頃からの自然発生的なコミュニケーションを誘発できるように計画した。

毎週月・木のゴミ出しの日に勝手口の路地で挨拶し合う、晴れた日中、物干し広場で洗濯物を干しながらはずむ会話、共同ポストにて郵便を確認しながら井戸端会議・・・。何気ない日常のワンシーンで自然とコミュニケーションが取れるようにし、街区内での良好なコミュニティを育む仕掛けである。

■区画全体の連続性とプライバシーの確保

紡ぎの床が全体を紡ぎつつ、ヴォリュームがずれあって配置されることで隣棟間の視線を完全に抜けてしまわないようにし、窓や開口の位置を適切に計画することで適度なプライバシーを確保する。日頃から積極的にコミュニケーションを取り合うこともでき、また場合によっては程良い距離感でも暮らすことが出来るよう配慮した。

また、道向かいの住戸とは互い違いにズレ合いながらヴォリュームが配置され、区画全体がランドスケープのような連続性で繋がっているような計画としている。